令和2年12月25日開かれた、品川区議会第3回臨時会において議題に供された「羽田新飛行経路の運用の賛否を問う品川区民投票条例」案及び修正案について、自民・無所属・子ども未来会派は両案に反対し、反対討論を行い、採決の結果は両議案とも否決となりました。当日行いました、会派の反対討論をアップします。
反対討論
はじめに、この度の条例制定の請求にむけた署名活動に関係された区民の皆様に敬意を表します。また、今日の臨時会開会に向け連日遅くまで事務作業につとめられた区議会事務局をはじめとする関係区職員の皆様に御礼申し上げます。
品川区議会自民・無所属・子ども未来を代表して、第99号議案「羽田新飛行経路の運用の賛否を問う品川区民投票条例」案及び修正案について反対の立場から討論を行います。
本条例案は、国が決定し運用を開始した品川区上空を飛行する羽田空港の新飛行経路に対する賛否について、品川区民による投票の実施を定めるものです。
この度、署名数が法定数の6,802人を超え、20,760人の署名により請求されたところであり、その意義を重く受けとめるものであります。
その上で、本議案及び修正案を慎重に検討した結果、2点、反対の理由を述べます。
1点目に、羽田新飛行経路の運用に対し、区議会も区も容認しない旨の意思を表明しています。
区議会では、平成31年3月26日に「品川上空を飛行する羽田新飛行ルート計画に関する決議」を、令和元年9月20日に「品川上空を飛行する羽田新飛行ルート計画決定に関する決議」を行い、区民の不安払しょくにつながる効果的な対策の実施と、早急かつ具体的にルートの再考および固定化を避ける取り組みを示し、実行に移すことを国に強く求めています。
区においても、令和2年3月29日の本格運用開始後も寄せられる区民の方々からの不安のお声や、新型コロナウイルス感染症の影響による航空需要の低下を踏まえ、区長自らが、同年5月20日、国土交通省を訪れ、落下物対策や騒音環境軽減に向けた更なる取り組みの実施や、都心上空を飛行する現飛行ルートを固定化することがないよう、国土交通大臣あてに申し入れを行っています。
国は、求めに応じ、令和2年6月30日に新経路の固定化回避・騒音軽減等の観点から、新経路の見直しが可能な方策がないかについて検討を行うための検討会を立ち上げ、本年度内には一定の取りまとめを行うとしています。なお、一昨日の23日には第2回の固定化回避に係る技術的方策検討会が開催されました。
引き続き、品川区議会としても、固定化回避に向けた国の取り組みについて、今後も注視していくとともに、具体的な取り組みの早期実施を今後も国に対し強く求めていくことが必要であると考えます。
2点目に、羽田新飛行経路の運用について国は、当該運用に関する区民の方々からのご意見、ご要望に対し、今後もしっかりと受け止め、国の責任において、引き続き丁寧に対応していくことを表明しています。
国は、区議会ならびに区の求めに応じ、区内13地域での教室型説明会を実施するなど、区民の皆様に対し計画の説明、周知を行ってきました。
一方で、区民の皆様から、更なる対策や説明を求める様々なお声が、会派に寄せられています。
本格運用開始以降も、区は、区民の方々から寄せられている、落下物対策や騒音環境軽減に向けた更なる取り組みの実施などを国に求めており、国も引き続き、多くの方々のご理解が得られるよう、取り組んでいくと回答しています。
したがいまして、事業主体であり、説明責任を果たすべき国に対し、今後もこれらの点に関して、強く求めていくことが重要であり、羽田新飛行経路運用に対して法的拘束力のない区民投票を、本事業の施行者でない品川区が実施することは適当でないと考えます。
さて、本日提出された修正案は、区長による条例案に対する意見書が付されたのちに区議会議員より提出されたものであります。本来提出された条例案に対する賛成署名を20000筆以上集められたことは承知しています。条例案に瑕疵があったのか不備があったのか知る由はありませんが、修正案提出者からは、まずもって条例案原案に対し署名いただいた区民の皆様へ修正案提出の説明がなされたのでしょうか?また、区長の意見を受け修正案に記載された一定の区民の理解については、「投票資格者数の25%の投票率が一定の理解」としていることには理解に苦しみます。多くの区民の意見集約と捉えるならば、少なくともここ数年で最も高い投票率をもっておこなわれた選挙での投票率こそ住民意思の決定にふさわしく、一定の理解と捉えるべきと考えます。このようなことから現状の修正案が開票結果の効力を有効にすることは40万区民の意見集約とはいいがたいのではないでしょうか?また、投票日を条例施行日から1年以内としたものについても現在の住民意思の反映といえるのか疑問です。新型コロナ感染症対策に多くの力を注がざる負えない現状下において、他の選挙執行にあわせたところで、費用の問題もさることながら、投票活動が行われる場合、投開票作業に数多くの職員の手が必要となるとともに、公職選挙法抵触による混乱も予想されます。
決して法で認められている住民投票を否定するものではありません。しかしながら広域的な問題であるため、他区との連携も考えなければなりません。
会派としても日常の政治活動である町を歩いての、そして課題研究をとおして区民の皆様の声に耳を傾け、引き続き区政の発展に努めてまいります。
以上、あらためて区議会決議である、区民の不安払しょくにつながる効果的な対策の実施と、新型コロナ感染症で世界中の環境や生活が大きく変化した現状を踏まえるとともに、あらゆる可能性を排除せずに、また、今以上に区民の皆様へ正確な情報が適切な情報量でわかりやすく伝わる仕組みの構築を国と区が密な連携をとりながら一緒になって進めていただきたく要望するとともに、早急かつ具体的にルートの再考および固定化を避ける取り組みを示し、実行に移すことを国に強く求め、私の反対討論を終わります。
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